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心理検査NEO-PI-R <開放性>

人格の5因子モデル(ビッグファイブ)に基づいて開発されたNEO-PI-Rという心理検査があります。これは、人格を細かい特徴まで捉え、尚且つ、包括的に理解するために、5つの次元を細かく細分化させています。
今回は、5因子(「N 神経症傾向」「E 外向性」「O 開放性」「A 協調性」「C 誠実性」)のうち、「O 開放性」についてまとめてみたいと思いますので、自己理解を深めるにあたり、参考にしてみてください。

開放性の包括的理解

開放性は、神経症傾向や外向性ほどは知られていませんが、人格を形成する要素としては、重要な役割を果たしているといわれています。開放性を示す大きな意味としては、様々な経験に対して<開かれているか>ということです。たとえば、自ら積極的に想像力を働かせるとか、知的好奇心が高いか、内的世界・外的世界の両方に対して好奇心を持っているかなどは、広い領域において人格に影響を与えることは想像できるかと思います。NEO-PI-R人格検査では、「開放性」をさらに細かく構成する下位次元が6つあります。検査をお受けになった方は、ご自分の特徴をさらに深めていただくために、ぜひ役立ててみてください。では、下位次元を見ていきましょう。

開放性の6つの下位次元

下位次元1 想像力
生き生きとした想像力をもつ傾向のこと。創造的で想像力豊かな人はこの値が高くなり、既成概念や固定観念に縛られず、現実の枠を超えて自由な考え方をする。自分の興味のある世界を深めたいと、空想にふけることも多く、クリエイティブな生き方をする。反対に、この値が低ければ、現実的で実用的なことを考えることを好み、具体的な事実に基づいて思考する傾向をもつ。

下位次元2 審美性
審美性とは、芸術的な関心の高さを示す。この値が高い人は、感受性が高く、美しいもの、芸術的なものへの関心が高い。音楽・美術・文学などに好奇心をそそられ、親しんでいく。芸術的な才能の有無や趣味を持つかどうかに限らず、高い見識と鑑賞力を伸ばしていく。反対に、この値が低ければ、芸術への関心は薄く、実用的で機能性を重視する傾向が強い。

下位次元3 情動性
情動性とは、感情に敏感で、情緒的な体験を重要なものとして捉える傾向を示す。この値が高いと、感情に敏感に反応しやすく、他人の気持ちに高い共感を示し、感情の変化にも敏感に気づく傾向を持つ。ポジティブな感情、ネガティブな感情の両方を強く感じやすい。反対に、この値が低いと、感情の起伏が少なく、感情への反応が低い。感情を重視せず、理性的に物事を考える傾向が強くなる。

下位次元4 冒険心
新しい経験を求める意欲や好奇心の強さを示す。この値が高い人は、新しいことを試したり、見知らぬ場所に行くことを好んだり、珍しいものを食べてみようとするところによく現れる。真新しいものや多様性のあるもの、新しい活動や環境を楽しむ傾向を持つ。反対に、この値が低い人は、変化を好まず、経験済みの慣れ親しんだ変わらない環境を好み、ルーティンに忠実な傾向が高い。

下位次元5 知的好奇心/アイデア
抽象的な思考や哲学的な議論など、頭を使う難しい問題を思考することへの関心を示す。この値が高い人は、型にはまらず、進んで複雑な問題を考えることを好み、心の広さや知的能力の発達に貢献していく。反対に、この値が低いと、興味の範囲が狭く、哲学的な議論を退屈だと感じ、高い知性を持っていたとしても、限られた話題にしか注目しない傾向があり、実用的な問題に興味を示す。

下位次元6 価値観の自由さ
伝統や権威に対する態度を示す。この値が高い人は、慣習や社会的規範にとらわれず、さまざまな価値(社会的・宗教的・政治的)の再検討が容易にでき、新しい価値観や制度を受け入れやすい。また、独断的な態度を好まない。反対に、低い値の人は、伝統や秩序を重視し、現状を維持することや安定を好む傾向があり保守的。 

これらの下位次元をまとめて総括的にみた場合、一般的開放性の高い人・低い人はどのような特徴を示すのか「感情面」「行動面」「対人関係」「職務適性」にわけて、みてみますね。

開放性の高い人・低い人の特徴

開放性の高い人
<感情面>
感受性が高く、いろんな感情を深く感じる傾向がある。芸術や美的体験に対して感動しやすい。
感情の複雑なニュアンスを楽しむ傾向があり、感情の揺れ幅も大きい傾向がある。
<行動面>
冒険心旺盛で、未知の分野や多様な活動に挑戦することを好む。変化を受け入れる柔軟性がある。
<対人関係>
異なる意見や文化、考え方を受け入れやすく、幅広い関係性を築く。
抽象的で哲学的な話題や、芸術的な会話を楽しむ傾向がある。
<職務適性>
創造性や革新性が求められる職務に適性が高い。(研究機関・デザイン・芸術・マーケティングなど柔軟性と新しいアイデア、変化に迅速な対応を求められる職場など)

開放性の低い人
<感情面>
感情表現は控えめ。感情の起伏も穏やか。感情よりも論理的で実用的な判断を重視しがち。
適度な感情表現も避ける傾向がある。
<行動面>
慣れた環境や決まったパターンの行動を好み、変化を避ける傾向がある。
新しいことへの挑戦よりも、確実性の高い効率優先の傾向が高い。
<対人関係>
長年の付き合いや、既知の価値観を共有することを好み、社会規範や慣習に基づいた交流を好む。
急激な変化や新奇的な考えには慎重。
<職務適性>
ルールや手順が明確で安定性と一貫性が求められる職務に適性が高い。(管理業務・事務業務・伝統的な業務遂行を重視される職場など)

いかがだったでしょう。この傾向の高い・低いは、決してマイナスではありません。むしろ特性を理解し、生かすことで、大きな発展と安定を手にしていくことができると感じます。たとえば、変化の激しい時代には、慣習にとらわれない柔軟な発想が求められますし、その中でも、古来大切に積み上げてきた文化の価値を生かすという視点は、大きな武器になります。これは開放性の強い人、弱い人、それぞれの特性のメリットでもあります。
開放性という、これまであまり馴染みのなかった特性の理解を深めていただくことで、自己理解、他者理解を深めていただき、これからの人生を豊かなものにしていただければと思います。

 

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