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心理検査NEO-PI-R <誠実性>

人格の5因子モデル(ビッグファイブ)に基づいて開発されたNEO-PI-Rという心理検査があります。これは、人格を細かい特徴まで捉え、尚且つ、包括的に理解するために、5つの次元を細かく細分化させています。
今回は、5因子(「N 神経症傾向」「E 外向性」「O 開放性」「A 調和性」「C 誠実性」)のうち、「C 誠実性」についてまとめてみたいと思いますので、自己理解を深めるにあたり、参考にしてみてください。

誠実性の包括的理解

誠実性とは、自己統制の力と関係が深く、目標達成に向けてコツコツ努力を重ね、誘惑に惑わされず、計画的に行動する特性を示します。誠実性が高い人は、目的を持ち、意志が強く、固い決意を持って取り組む姿勢を持ちます。責任感が強く、ものごとを計画通りに遂行させるため、「達成への意志」とも呼ばれ、偉業を成し遂げる人には欠かせない要素ともいわれます。ただ、ネガティブな側面として、気難しさや極端さ、潔癖さともつながりやすく、ワーカーホリックな傾向にもなりやすいことが指摘されています。NEO-PI-R人格検査では、「誠実性」をさらに細かく構成する下位次元が6つありますので、見ていきましょう。

誠実性の6つの下位次元

下位次元1 自己効力感
自分の能力や努力によって、目標を達成できるという信念を持つことを示す。この値が高ければ「自分はできる!」と気持ちを奮い立たせ、難しい課題にも前向きに取り組む。逆境に強く、粘り強いため、実際の問題解決能力も高い傾向がある。反対に低ければ、「どうせ無理だ」とあきらめがち。他人の意見に流される傾向も出てくる。

下位次元2 秩序性
物事を整理整頓して、計画的に行動する傾向のこと。この値が高いと、整理整頓が得意で計画的。ルールや規則を大切にする傾向が高い。反対に低ければ、整理整頓が苦手で、計画を立てても守らないことが多く、ルールを守らず行き当たりばったりになりがち。

下位次元3 良心性
誠実性とは、良心に従って行動することであり、誠実性の一側面を示す。この値が高ければ、道徳心や倫理観が高く、自分の義務を忠実に果たそうとする。約束や期限を守るし、信頼に応えようとする。反対に低ければ、道徳や倫理観には無頓着で、ルールに縛られない傾向を示す。

下位次元4 勤勉性
目標を達成するために、努力し続ける力を示す。この値が高ければ、向上心が強く、自分が成長していくことを求め、努力を惜しまない。反対に低ければ、気力が乏しく、低い達成レベルで満足する傾向がある。

下位次元5 自己抑制
目標達成のために誘惑を我慢し、やるべきことを継続し続ける傾向を指す。この値が高ければ、やるべきことはすぐに取り掛かり、先延ばしにすることなくタスクをこなしていく。自分を律する力が強く、誘惑に負けて途中で投げ出すことはない。反対に低ければ、怠けがちで、先延ばしにしたり、途中であきらめることが目立つ。衝動性と混同されやすいが、衝動性は、したいと思わないことをしてしまう衝動に逆らえないが、自己抑制の低さは、自分のしたいことを自分に強いることができない。前者に必要なのは<安定>であり、後者に必要なのは<やる気>ともいわれている。

下位次元6 慎重さ
行動を起こす前に十分に考え、慎重に判断する傾向を指す。この値が高い場合は、慎重で、石橋を叩いて渡る傾向が強く、リスク管理が得意。反対に低ければ、リスクを顧みず、衝動的で無鉄砲な行動を取ることが多い。

これらの下位次元をまとめて総括的にみた場合、一般的に誠実性の高い人・低い人はどのような特徴を示すのか「感情面」「行動面」「対人関係」「職務適性」にわけて、みてみますね。

誠実性の高い人・低い人の特徴

誠実性の高い人
<感情面>
感情コントロールが得意。冷静に分析してパニックにならずに対処する傾向が高い。堅苦しく完璧主義になりがち。
<行動面>
計画的に行動することが得意。長期的な目標を据え、ルールを決め、段階的に努力し、最後までやり遂げようとする。失敗を恐れて慎重になりすぎる傾向がある。
<対人関係>
責任感が強く、信頼が厚い。不用意な言動も少なく、落ち着いたコミュニケーションができ、安定した交友関係を築きやすい。ただ、自分にだけでなく、他人にも高い基準を求める傾向があり厳しい面もある。
<職務適性>
計画性や責任感が求められる職業や、几帳面さや性格さが求められる職業に適性が高い。(例えば、管理職や経営者、エンジニア、研究者、医師や看護師、会計士や税理士、教育関係、金融関係など)

誠実性の低い人
<感情面>
感情を重視し、感情に流される傾向が強い。柔軟性に富む。
<行動面>
予期せぬ変化にも適応することがうまく、手順やルールにこだわらず、新しいことにも積極的に挑戦する傾向がある。<対人関係>
堅苦しさがなく、人との気軽なつき合いができる。遊び心やユーモアがあると思われることがある。
<職務適性>
即興性や創造性が求められ、自由な発想や、時には大胆なリスクテイクが必要な職業に適性が高い。(例えば、芸術家やデザイナー、エンターテイナー、セールスや営業、スタートアップ企業の経営者など)

いかがだったでしょう。この傾向の高い・低いは、決してマイナスではありません。ただ、偏り過ぎれば生きづらさに繋がりますので、それぞれの苦手を意識して、大きなマイナスを生まないようにすること。そして、持ち前の強みを生かす発想が重要です。例えば、コツコツと努力を積み上げることが得意な人が、常に変化し続ける落ち着かない環境に長いこといれば、バランスを崩しやすくなります。でも雑然とした環境を整理整頓していくことは得意なので、その性質を生かせたらいいですね。反対に、縛られることを嫌う自由な発想の持ち主が、きっちりとしたルーティンを日々こなすことを強いられると、窮屈さを感じるでしょう。ところが、同じくりかえしの作業でも、どうすれば楽しくできるかを発想することは得意なのです。ぜひ、自己理解を深め、ご自分の強みを生かしていただければと思います。

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